ラボグロウンダイヤモンド
ラボグロウンダイヤモンドの婚約指輪はありえない？変化する価値観と世界の潮流
「ラボグロウンダイヤモンドの婚約指輪なんてありえない」そう感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、アメリカでは52%のカップルが婚約指輪にラボグロウンダイヤモンドを選択しており、新しい価値観として世界的に広がりつつあります。
天然ダイヤモンドと同等の輝きを持ちながら、環境や人権に配慮したエシカルな選択肢として、多くのカップルの心を掴んでいるのです。
本記事では、ラボグロウンダイヤモンドが「ありえない」と言われてきた背景や、欧米で支持が急速に広がっている理由を解説します。
目次
婚約指輪にラボグロウンダイヤモンドはありえない？
「婚約指輪は天然ダイヤモンドでなければならない」という価値観は、長い間当たり前のものとされてきました。
海外では、欧米を中心に「環境や人権に配慮したエシカルな選択」を重視する新しい価値観が広がっています。海外では、ジュエリーそのものの価値だけでなく、その背景にあるストーリーや倫理性を大切にする傾向が強まっているのです。
実際、アメリカの調査会社The Knotが2025年に発表したデータによると、婚約指輪を購入したカップルの52%がラボグロウンダイヤモンドを選択しています。これは前年比6%増、2019年と比較すると実に40%も増加しており、世界的な潮流として確立されています。
環境や人権に配慮されたラボグロウンダイヤモンドを婚約指輪に選ぶカップルは、今後ますます増えていくことでしょう。
出典：The Knot「The Knot 2025 Real Weddings Study」（https://www.theknot.com/content/wedding-data-insights/real-weddings-study）
ラボグロウンダイヤモンドも「本物」のダイヤモンド
ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドの成長環境を再現した研究所で作られるダイヤモンドです。天然ダイヤモンドと同じ炭素で構成されており、化学組成、結晶構造、物理的特性はほぼ同じです。
透明度や輝きは鑑定士が見ても区別がつかないほど美しく、評価基準も天然ダイヤモンドと同じ4C（カラット・カット・カラー・クラリティ）が適用されています。
国際的な鑑定機関であるGIA（米国宝石学会）やIGI（国際宝石学研究所）で正式に本物のダイヤモンドとして認定されており、GIAはラボグロウンダイヤモンドに対し、天然ダイヤモンドと同じ4Cの用語を使用してレポートサービスを提供しています。
さらに、2018年にはアメリカ連邦取引委員会（FTC）がラボグロウンダイヤモンドを「本物のダイヤモンド」と認めるガイドラインを発表しました。ラボグロウンダイヤモンドは、正真正銘の本物のダイヤモンドなのです。
天然ダイヤモンドとの最も大きな違いは、製造までの時間です。天然ダイヤモンドが地下深くで数億年かけて形成されるのに対し、ラボグロウンダイヤモンドは研究所で数週間ほどの期間で育てられます。
しかし、見た目や品質に違いはなく、専門家でも肉眼では判別できません。
アメリカでは52%のカップルが婚約指輪にラボグロウンダイヤモンドを選択
アメリカの調査会社The Knotが2025年に発表した「Real Weddings Study」によると、婚約指輪を購入したカップルの52%がラボグロウンダイヤモンドを選択しています。これは前年の46%から6ポイント増加しており、2019年のわずか12%と比較すると、この6年間で40ポイントも増加したことになります。
欧米のカップルの約70%が結婚・婚約指輪を選ぶ際にラボグロウンダイヤモンドを選択肢に含めており、実際に36%のカップルがラボグロウンダイヤモンドの婚約指輪を購入しています。
ラボグロウンダイヤモンドの市場は、2024年から2032年にかけて年平均成長率14.11%で成長すると予測されています。
2022年にはLVMHグループの投資ファンドがラボグロウンダイヤモンド生産者のLUSIXへ9000万ドル（約135億円）を投資するなど、大手企業からの信頼も集まっています。
出典：The Knot「The Knot 2025 Real Weddings Study」（https://www.theknot.com/content/wedding-data-insights/real-weddings-study）
なぜ選ばれる？ラボグロウンダイヤモンドの魅力
ラボグロウンダイヤモンドが世界中のカップルに選ばれている理由は、以下のような魅力があるからです。
- 予算内で好きな大きさやデザインを選びやすい
- 品質が安定している
- 環境負荷が少ない
- 人権問題でクリーン
それぞれ詳しく見ていきましょう。
予算内で好きな大きさやデザインを選びやすい
ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドの3分の1から2分の1程度の価格で購入可能です。同じ予算であれば、より大きなカラット数や高いグレードのダイヤモンドを選ぶことができます。
予算が限られていても、憧れの1カラット以上の大粒ダイヤモンドや希少なカラーダイヤモンドが手に入り、デザインの選択肢が大幅に広がります。お二人が本当に気に入ったデザインを、無理なく実現できる点は大きな魅力です。
品質が安定している
ラボグロウンダイヤモンドは、研究所で温度や圧力が徹底管理された環境下で製造されます。そのため、内包物や欠陥が少なく、高品質なものを安定して生み出しやすいのが特徴です。
天然ダイヤモンドは数億年かけて形成される過程で内包物が含まれたり欠陥が生じたりするため、品質が一定ではありません。対してラボグロウンダイヤモンドは、不純物の混入や結晶の欠陥が極めて少なく、一貫性のある品質を実現できます。
一生身につける婚約指輪だからこそ、安定した高品質は安心につながります。
環境負荷が少ない
天然ダイヤモンドの採掘には、土壌侵食、水質汚染、生態系の破壊といった環境への影響が懸念されます。大量の水や化石燃料の使用により、温室効果ガスの排出量も多いことが課題です。
一方、ラボグロウンダイヤモンドは地下採掘が不要なため、自然の景観や生態系を破壊することがありません。水やエネルギーの使用量、CO2の排出量も大幅に削減でき、環境に優しい持続可能な選択肢として、多くのカップルに選ばれています。
人権問題でクリーン
天然ダイヤモンドの採掘は、児童労働、強制労働、紛争資金源といった人権問題と関連している場合があります。紛争ダイヤモンド（戦争や紛争の資金源となるダイヤモンド）のような倫理的な課題は、いまだ完全には解決されていません。
対してラボグロウンダイヤモンドは研究室で生産されるため、これらの倫理的な問題とは無縁です。クリーンな背景を持つ点が、エシカル消費を重視する現代のカップルに高く評価されています。
理想のラボグロウンダイヤモンドを選ぶためのポイント
より満足度の高いジュエリーを手に入れるために、以下のポイントに注意して選びましょう。
- 品質（4C基準）
- 鑑定書の有無
- メーカーの信頼性
品質丨4C基準
ダイヤモンドの品質を評価する際は、国際的に用いられる「4C」の基準を確認しましょう。4Cとは、カット（研磨状態）・カラット（重さ）・カラー（色）・クラリティ（透明度）のことです。
ラボグロウンダイヤモンドであっても4C基準が適用されます。一生ものとして購入する際は、4Cを明確に表示している製品を選ぶことが重要です。
鑑定書の有無
品質を保証するGIAやIGIなどの国際的鑑定機関の鑑定書が付属しているかを確認しましょう。鑑定書には「Lab Grown」と明記されていることも確認ポイントです。
婚約指輪のような記念となるジュエリーを購入する場合は、鑑定書のあるものを選ぶことをおすすめします。
メーカーの信頼性
製造メーカーの技術力によって品質に差が生じる可能性があります。環境への配慮、品質保証、アフターサービスを明確にしているメーカーを選びましょう。日本グロウンダイヤモンド協会の会員であるかどうかも、信頼性を判断する基準のひとつです。
長く大切に身につける婚約指輪だからこそ、信頼できるメーカーから購入することが大切です。
まとめ
ラボグロウンダイヤモンドを婚約指輪に選ぶことは、もはや「ありえない」選択ではありません。アメリカでは52%のカップルが選択しており、世界的な潮流として確立されています。
天然ダイヤモンドの3分の1から2分の1程度の価格で購入でき、予算内で理想の大きさやデザインを実現できます。環境負荷が少なく、人権問題とも無縁であるというエシカルな価値も、現代のカップルに支持される大きな理由です。
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