ラボグロウンダイヤモンド
ラボグロウンダイヤモンドの見分け方丨天然ダイヤモンド・類似石との違いは？
ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと同等の輝きを持ちながら、環境への配慮や価格面でのメリットから注目が高まっています。一方で「天然とどう違うの？」「見分ける方法はあるの？」と疑問を抱く方も少なくありません。
本記事では、肉眼での識別が困難な理由、鑑定書を使った確実な見分け方、キュービックジルコニアやモアッサナイトとの違い、そしてラボグロウンダイヤモンドならではの魅力まで、詳しく解説します。
目次
そもそもラボグロウンダイヤモンドとは
ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドの成長環境を再現した研究所で作られるダイヤモンドです。
天然ダイヤモンドが地球内部で長い年月をかけて生まれるのに対し、ラボグロウンダイヤモンドは数週間ほどでつくられます。ただし、この違いは時間と場所だけで、どちらも同じ炭素でできたダイヤモンドです。
製造方法は「HPHT法」と「CVD法」の2つがあります。どちらも環境を細かく管理できるため、純度の高いダイヤモンドが育つ点が特徴です。その結果、ラボグロウンダイヤモンドには透明感のある「タイプⅡ」が多く見られ、美しい輝きを楽しめます。
ラボグロウンダイヤモンドは本物のダイヤモンド？
結論として、ラボグロウンダイヤモンドは「本物のダイヤモンド」です。
2018年にはアメリカ連邦取引委員会が正式にダイヤモンドとして認め、GIAやIGIなどの国際的な鑑定機関も天然と同じ4Cの基準で鑑定書を発行していますが、鑑定書にはラボグロウンであることが明確に記載されます。
GIAは2019年以降「合成」という表現を使わず、より公平な扱いをしています。
物理的な性質も天然ダイヤモンドと同じです。モース硬度10の硬さや屈折率、熱伝導率などの数値が一致しており、科学的にも区別がありません。
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの見分け方
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドを見分けることは、一般の方はもちろん、経験豊富な鑑定士でさえ極めて困難です。
【ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドは見分けられる？】
- 肉眼での識別は困難
- 専門機関による鑑定書が重要
ひとつずつ見ていきましょう。
肉眼での識別は困難
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドは、肉眼ではほとんど見分けられません。どちらも炭素でできた同じ物質で、輝きや透明度、色の印象まで一致しているためです。
プロの鑑定士が拡大して観察しても区別は難しく、熱伝導率を測る簡易テスターでも判断できません。それほどまでに見分けがつかない理由は、製造技術の精度が高く、天然に近い内包物まで再現できるほど進化しているからです。
さらに、ラボグロウンダイヤモンドには不純物が少ない「タイプⅡ」が多く、透明感のある輝きが生まれやすい傾向があります。天然では極めて少ないタイプであるため、この点を知っておくと品質への理解が深まります。
専門機関による鑑定書が重要
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドを確実に見分ける方法は、信頼できる鑑定機関の鑑定書を確認することです。鑑定書には4C評価に加えて、天然かラボグロウンかが明記されています。代表的な機関にはGIA、IGI、HRDがあります。
これらの機関は、紫外線蛍光の反応や成長パターンの分析など、専門的な機器を使ってダイヤモンドを判別します。表記は機関によって少し異なりますが、GIAは「Laboratory-Grown Diamond」、IGIは「Laboratory Grown」などの表記を用いています。
購入時は鑑定書の有無に加えて、鑑定書の識別番号とダイヤモンドに刻まれた番号が一致しているかを必ず確認しましょう。そうすることで、鑑定書と実物が同じものであると安心して選べます。
ラボグロウンダイヤモンドとキュービックジルコニア・モアッサナイトの違い
ラボグロウンダイヤモンドと混同されやすい宝石に、キュービックジルコニアとモアッサナイトがあります。これらはダイヤモンドに似た輝きを持つ石ですが、ラボグロウンダイヤモンドとは本質的に異なる別の物質です。
- キュービックジルコニアとの違い
- モアッサナイトとの違い
それぞれとの違いについて、ひとつずつ見ていきましょう。
ラボグロウンダイヤモンドとキュービックジルコニアの違い
キュービックジルコニアは二酸化ジルコニウムを主成分とする人造石で、炭素からできたラボグロウンダイヤモンドとは性質が大きく異なります。
まず硬度の差が明確です。ダイヤモンドはモース硬度10と非常に傷つきにくいことで有名ですが、キュービックジルコニアは8から8.5ほどです。日常使いには十分な硬度ではありますが、モース硬度の高いものと一緒に保管したり、強くぶつけたりすると、傷つく可能性があります。
また、キュービックジルコニアには鑑定書が発行されません。一方のラボグロウンダイヤモンドは本物のダイヤモンドとして扱われ、鑑定書が発行されます。
ラボグロウンダイヤモンドとモアッサナイトの違い
モアッサナイトは炭化ケイ素から作られる宝石で、炭素でできたラボグロウンダイヤモンドとは別の物質です。硬度は9.25ほどと高いものの、ダイヤモンドの硬度10には届きません。
大きな違いは輝き方です。モアッサナイトは屈折率が高く、虹色が強く出るため、華やかな印象になります。一方でラボグロウンダイヤモンドは白い光と虹色がほどよく混ざる、落ち着いた輝きが特徴です。
また、モアッサナイトはダイヤモンドではないため、鑑定書でも明確に区別されます。この点を知っておくと、見た目が似ていても選びやすくなります。
ラボグロウンダイヤモンドの魅力
ラボグロウンダイヤモンドには、天然ダイヤモンドにはない独自の魅力があります。
- 天然ダイヤモンドより価格が手頃
- 品質が安定している
- 環境負荷が少ない
- 人権問題でクリーン
価格面でのメリットはもちろん、品質の安定性や環境・倫理面での配慮など、現代の価値観に合った新たな選択肢として注目されています。
天然ダイヤモンドより価格が手頃
ラボグロウンダイヤモンドの大きな魅力は、天然より価格が手頃な点です。品質が同等であれば、価格はおおよそ天然の2分の1〜3分の1ほどになります。採掘コストや流通の手間がないため、この差が生まれます。
たとえば30万円の予算でも、天然なら0.3カラット程度のところ、ラボグロウンなら0.5カラット以上の存在感のあるサイズを選べます。あるいは同じカラット数で、より高いグレードを選ぶこともできます。
もちろん、価格が手頃でも品質は天然と同じです。化学的にも物理的にも同一で、GIAやIGIといった国際機関が同じ基準で鑑定書を発行します。価格と品質のバランスを重視したい方にとって、とても選びやすい選択肢です。
品質が安定している
ラボグロウンダイヤモンドは、品質が安定している点が大きな強みです。天然ダイヤモンドは形成される環境が一定ではないため、不純物や内包物の入り方にばらつきが生まれます。
一方でラボグロウンダイヤモンドは、温度や圧力を細かく管理した環境で育てられます。そのため、不純物が入りにくく、均一で高品質な仕上がりになりやすいのです。
とくに多くが「タイプⅡ」と呼ばれる純度の高いダイヤモンドに分類されます。天然ではごくわずかしか存在しないタイプで、透明感のある澄んだ輝きが特徴です。品質に安心感を求める方に適した選択肢といえます。
環境負荷が少ない
ラボグロウンダイヤモンドは、環境への配慮を重視したい方にも適した選択肢です。
採掘が不要なため、大規模な土地の掘削や大量の水を用いる工程がなく、自然環境への影響を小さくできます。製造工程が管理されていることから、余分な資源を使わずに生産できる点も特徴です。
どのように作られたジュエリーを身につけたいかを考える方は増えています。ラボグロウンダイヤモンドは、その思いに応えられる持続可能な選択肢といえます。
人権問題でクリーン
ラボグロウンダイヤモンドは、倫理面で安心して選べる点が大きな魅力です。製造工程が明確で、どこでどのように作られたかがはっきりしており、労働環境も管理されています。この透明性の高さから「エシカルダイヤモンド」と呼ばれることもあります。
婚約指輪や結婚指輪は、2人の大切な節目に寄り添うものです。人や環境に配慮したダイヤモンドを選ぶことで、より納得して身につけられるようになります。
まとめ
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドは、化学的にも物理的にも同じダイヤモンドであるため、肉眼での識別は専門家でも困難です。確実に見分けるには、GIAやIGIなど信頼できる鑑定機関の鑑定書を確認することが大切です。
ラボグロウンダイヤモンドの魅力は、価格が手頃で品質が安定している点に加え、環境や人に配慮したエシカルな選択肢であることです。同じ予算でもより大きく、より高品質なダイヤモンドを選びやすいため、長く使える指輪を求める方にぴったりです。
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